腋臭症(えきしゅうしょう)、ワキガ

 腋臭症とは、腋窩(わきの下のくぼんだ箇所)にアポクリン腺という臭いを発する汗の器官から出る特有の臭気を強く発する状態のことで、発汗によって臭気は強くなります。


ワキガは、通常思春期(腋毛の発毛時期)より発症し、その状態は男女共に認められており、人種では白人や黒人に多く、日本人には少ないと言われています。


 遺伝傾向があり、両親のどちらか又は親族にわきが体質の方がいることが多く、体質のため途中から突然ワキガになったり、他人から感染することはありません。

 

保険での腋臭症手術の適応

保険での腋臭症手術の適応は、下記のように定められています。

 

『悪臭甚だしく他人の就業に支障を生じる事実が明らかであって、客観的に医療を加うべき必要がある場合は給付して差し支えない。軽度のものは給付外。』

 

ですので、患者さんご本人が『気になる』かどうかは問題ではなく、他人がひどく悩まされる状態でないと保険での手術適応とはなりません。

 

本当に腋臭症かどうか

本当に強いワキガでなくても、アポクリン腺から分泌される汗に含まれている少量の脂肪酸が皮膚の細菌によって分解されて低級脂肪酸になり、悪臭を発します。

除菌をするか、脱毛をして細菌の棲み処を減らすことで臭いが改善することも多いです。

 

また、手術をしても、体全体のエックリン腺から出る汗そのものの臭いを消すことはできません。

 

手術の適応かどうかは、診察時にガーゼテストでチェックさせて頂いています。

 

保険での治療範囲と自費での治療範囲の違い

保険での手術範囲

アポクリン腺の大半が集まっている中央部分の切除を行います。これで臭いの原因のアポクリン腺の大半を切除できます。他人の就業を邪魔しない程度には十分に切除可能です。

 

自費での手術範囲
自分で気になる場合は、少しの臭いでも気になることが多く、腋窩の広範囲のアポクリン腺の切除を行います。これで95%以上のアポクリン腺の切除ができると思われます。切除範囲が広い分、術後の固定はより厳格に行います。



術後について

手術は基本的に片方ずつで行います。術後固定期間があり、患側の腕の使用に制限がかかります。患側で重いものを持つこともできません。この手術を受けられる患者さんには、手術当日と翌日に安静が保てる日程を組んでいただくことが重要です。合併症の中で一番多いのは術後出血に伴う血腫です。これは術後早期に起こるので術後3~4日は注意が必要になります。この期間を乗り切るとその後は日常生活を普通にしていただいても順調に傷が回復される方がほとんどです。片方の手術をしてからもう片方の手術を行うのに、およそ2-3週間は間をあけます。

手術例

腋臭症手術 3割負担の場合 自費の場合
 片側  ¥18,000 ¥140,000