帯状疱疹(胴巻き)の原因
帯状疱疹は、小児期にかかった水ぼうそう(水痘)のウイルスが、そのまま脊髄近くの神経節と呼ばれる部分に残り、疲れ・ストレスなどで免疫力が低下したときに再び活性化して出てくることで、神経を通って皮膚に水疱ができます。日本人では5~6人に1人がかかるといわれています。
帯状疱疹後神経痛の原因
帯状疱疹後神経痛は、神経線維がウイルスによって傷つけられてしまうことで発症すると考えられています。
ウイルスによって神経が傷ついた結果、神経の異常な興奮や自発痛、痛覚過敏や知覚異常などが起こるとされています。
帯状疱疹に関連する痛み
帯状疱疹に関連する痛みには、
①皮疹(皮膚症状)が出現する前に起こる「前駆痛」
②皮疹が出現しているときに起こる「急性帯状疱疹痛」
③皮疹が治癒した後も続く「帯状疱疹後神経痛」
があります。
前駆痛や急性帯状疱疹痛は、主に皮膚の炎症による痛みですが、帯状疱疹後神経痛は神経が傷ついたことによる痛みであり、この2つの痛みは発症のしくみも治療法も異なります。
帯状疱疹後神経痛になりやすい人
次のような人は、帯状疱疹から帯状疱疹後神経痛に移行しやすいとされており、帯状疱疹を発症した初期から痛みの対策を行なうことが重要です。
・高齢者(60歳以上)
・帯状疱疹の初期症状が重症(皮疹がひどい、痛みが激しい)
・触れただけの刺激を痛みとして感じる、大きく感覚が低下している(知覚異常)
・免疫力が低下している(ステロイド治療中、投票病、がん治療など免疫を低下させる治療)
帯状疱疹後神経痛では、人により痛みの症状が異なります。
①持続的で焼けるような痛み
②断続的で繰り返し刺すような痛み
などが混ざって生じますが、その他にもさまざまな痛みを生じたり、感覚が鈍くなることもあります。
帯状疱疹後神経痛の主な痛みは、いろいろな痛みの症状が混在していたり、時間とともに変化する特徴があります。
・間欠的な(一定の時間で繰り返す)刺すような痛み
・ヒリヒリする、チカチカする、ズキズキする痛み
・針で刺すような痛み
・締めつけられるような痛み
・腫れたような感じ
・重たい感じ
・灼熱痛:持続的な焼けるような痛み
・電撃痛:電気が走るような痛み
・アロディニア:触れただけの刺激を痛みとして感じる
・知覚低下・感覚鈍麻:触覚、痛覚、温・冷覚の低下
内服治療
痛みの治療を行う際に、最も一般的に実施される治療は、内服薬による治療です。
主な内服薬は、非ステロイド性消炎鎮痛薬(NSAIDs)、アセトアミノフェン、神経障害性疼痛治療薬、オピオイド、鎮痛補助薬、ステロイド、麻酔薬、漢方薬などがあります。
内服治療では様々な薬を併用して、病態や症状に合わせて使い分けています。
ブロック注射
神経ブロック療法とは、神経や神経の周辺に局所麻酔薬を注射して、痛みをなくす方法です。麻酔薬が神経に作用し、痛みの伝わる経路をブロックすることで、痛みを取り除きます。痛みが緩和されることで血流がよくなり、筋肉のこわばりもなくなります。
一回で痛みが完治するものではなく、薬物療法と併せて複数回実施するのが一般的です。神経ブロック療法には、 いくつか種類があり、痛みの種類や症状により使い分けます。主なものは以下の通りです。
星状神経節(せいじょうしんけいせつ)ブロック
星状神経節ブロックは、首の付け根、のどのあたりにある「星状神経節」という交感神経の節に局所麻酔薬を注射して、交感神経の機能を一時的に抑える方法です。
硬膜外(こうまくがい)ブロック
硬膜外ブロックは、腰のあたりに局所麻酔薬を注射し、脊髄のまわりの硬膜の外側にある硬膜外腔(こうまくがいくう)に麻酔薬を注入して、神経の炎症を抑えて痛みをとる方法です。
トリガーポイント注射
押すと強い痛みを感じる部分が、痛みを引き起こすトリガー(引き金)となる場所です。筋肉に直接、局所麻酔薬や鎮痛薬などを注射し、痛みをとります。
リハビリ・理学療法
痛みが強いときは動きたくないものですが、痛みのために長期間身体を動かさないでいると、筋肉が痩せてきたり、関節が固くなったりすることがあります。
理学療法の目的は痛みをとるだけではなく、このような痛みに伴う症状をやわらげ、日常生活でのQOLを維持することにあります。
理学療法には主に次のようなものがあり、医師の指導のもと、症状を見ながら、いくつかの療法を組み合わせて進めます。
運動療法
筋力増強訓練やストレッチなどにより、筋肉の緊張をほぐして血流を改善したり、痛みの原因となる物質の除去を促します。
また、身体機能を向上させることで、日常生活における活動性の改善をはかります。
温熱療法
組織を温めて血管を広げ、痛みの原因となる物質の除去を促します。
電気刺激療法
低周波の電気刺激により、痛みを伝える神経の働きを抑えます。